いつかきっと晴れる

うつ病、パニック障害との闘いと思い

逆説志向

Okwebで頻繁に回答していた頃、同じ質問に回答する常連さんがいました。


ある日、パニック障害の質問にその方は「闘ってください」、私は「闘わないでください」と真逆の回答がされました。


でも、言っている事は同じでした。その方は「発作があっても逃げるな」という意味で、私は「発作を相手にするな、無視しろ」という意味合いでした。それを闘いと見るか、闘いと見ないかの違いだけでした。


その方は「逆説志向」「中村天風」「クハンバカ」などをよく回答に用いてました。私はその頃は森田療法ではなく、経験談をメインに加藤諦三さんの著書を引き合いに出したりして回答してました。


逆説志向は「夜と霧」で有名なフランクルが開発したものです。これも心のメカニズムを利用したものです。こちらも森田療法同様に治療法と言うより考え方、捉え方と言った方がいいでしょう。


逆説志向を説明するのにはとても判りやすい逸話があります。


ある学校に吃りで悩んでいた子供がいました。ある日、クラスで劇をやる事になり、その吃りの子は依りによって、吃りの子の役をやらされる事になりました。一種のイジメですね。


どんな気持ちだったでしょうか?日頃から吃りをからかわれていたのは想像に難くありません。皆の前でバカにされに行くようなものです。


ところが、いざ台詞を吃って言おうとしても吃れません。結局、その子の吃りは治ってしまったそうです。実話だそうです。


森田療法の精神相互作用を思い出してみてください。ある事象(この場合は吃り)に意識が集中すると、それが強化されます。吃ったらどうしよう!笑われる、からかわれる、バカにされる、どうしよう!


思えば思うほど、吃りが強化されてしまいます。それが精神相互作用です。


その意識してしまう事象を敢えてやってしまおうというのが逆説志向です。


手が震えてしまう人はわざと震わせてしまおう、不眠症の人は敢えて眠らないようにしようとする事で改善します。


敢えてやってしまう事でそれは「やってはいけない、そうなってはいけない(と思い込む)事」ではなくなるので改善するのは当たり前と言えば当たり前です。


時としてそこにはちょっとした勇気や開き直りが必要となる事もあるでしょう。


「身を捨ててこそ 浮かぶ瀬あれ」


先人の智恵には感服します。既に答えがあります。溺れそうになったら、もがくのは止めましょう。